今からたぶん、10年以上前の話になります。
あまりにも衝撃が大きかったので、どこかに書き残したりしてるかと思ったのですが、何もなくて、記憶が少しあやふやなんですが、私の人生で一番怖かった話です。
蛇の神様
私には弟がいます。
ある日、弟が車で夜釣りに行きました。
釣りを終えて車で寝ている時に、弟は長い髪の女の人が(生きている人ではない)、車の外からこちらを見ているのを見てしまったのです。
霊感などないと思っていた弟はパニックになり、次の日に震えながら家に帰って来ました。
それから当時学生だった弟は、日常的に霊のような物がたくさん見えるようになり、
怯えていました。
「霊が襲ってくる!!」
と叫び、怖がって何日も眠れない日が続き、挙動不審で目が離せない状態になり、母も困り果てていました。
親戚の知り合いの占い師(霊媒師?)を紹介してもらえることになり、母と私と弟で奈良へと向かいました。
そこでやはり、「悪い物が憑いている」と言われ、日を改めて奈良の有名な神社で、お祓いを受けることになりました。
後日、神社でお祓いを受けて、少し高い水晶の数珠を占い師から買って、気持ち的にも楽になったので、もう大丈夫だと思いました。
しかし、それからが本当の恐怖の始まりだったのです。
家に帰ってから、弟がクネクネと体をよじるような動作を始めました。
最初はふざけているのかと思った私達でしたが、見ているとすごく苦しそうです。
でも、声を掛けてもあまり反応はありません。
その動作は朝までずっと続き、私達はなすすべもなく見守ることしかできませんでした。
次の日、再び占い師の方に連絡して、再度あの神社へ向かうことになりました。
どうやら神様の力が強過ぎて、憑りつかれてしまったのかも?というお話でした。
それを聞いて、少し合点がいったような気がしました。
その神社は「蛇の神様」として有名だったからです。
クネクネとした動きが正にそうだったんだと・・・。
お祓いを受けてからも、しばらくは弟は本調子ではない状態が続きました。
今ではあの時のことは、もうほとんど覚えていないそうです。
霊感も今はないようです。
私も何度か心霊体験をしたことはありますが、今までで一番恐ろしかったのはこの時の体験です。
その時、「弟」が弟ではない「何か」であったというのが、はっきりとわかったから。
何よりそんな恐ろしい目にあった私の大事な弟が、今は元気に仕事をして生きていてくれることが、私は嬉しいのです。
私達が普段は見えていない「何か」は、この世にはたくさんあるのでしょう。
心霊体験とは、その「何か」を垣間見ているだけにすぎないのかもしれません。